大会概要・ご挨拶

Name
Age
会期
9月9日(火)~12日(金)
9月9日(火)(初日):オンライン開催
9月10日(水)~12日(金)(第2日~第4日):対面開催(九州大学・ほか)
会場
九州大学伊都キャンパス(福岡市西区元岡744)
アクロス福岡(福岡市中央区天神1-1-1)

メインテーマ:「アジアから考える」

2025年度日本建築学会大会(九州)は、初日の9月9日(火)には、研究集会(PD、研究懇談会)をオンラインで開催し、2日目以降の9月10日(水)~12日(金)には、参加者同士の交流が期待される学術講演会、建築デザイン発表会、総合研究協議会、研究協議会、表彰式などを、九州大学伊都キャンパスを主会場に対面で開催することといたしました。なお、10日の大会記念シンポジウムはアクロス福岡で対面開催いたします。

見学ツアー、懇親会については、こちらをご覧ください。

ご挨拶

2025年度日本建築学会大会が、九州大学伊都キャンパスで開催されますことは大変喜ばしく、心からお祝い申し上げます。開催にあたり、大学を代表して一言ご挨拶申し上げます。

九州大学は、1911年に帝国大学として創立され、今日まで114 年間の歴史と伝統の中で育まれ培われた叡智により、現在の高い水準の教育と最先端の研究を進めています。現在、約19,000人の学生と約8,000人の教職員が在籍し、12学部、20学府を有しています。2030 年に向け策定したKyushu University VISION 2030のもとで、「総合知で社会変革を牽引する大学」への道を進んでいます。研究によって生み出す様々な知識、知見から総合知を導きだし、活用して社会的課題の解決をはかり、DXを推し進め、教育・研究はもとより、社会変革に貢献する活動に取り組んでいます。

さて、本学には、4つのキャンパスがあり、大会の主会場となる「伊都キャンパス」は、糸島半島の美しい四季を存分に楽しめる豊かな自然に囲まれ、東西約3キロ、南北約2.5キロ、272ヘクタールの広大な敷地に完成した総合科学の中枢です。同キャンパスを核とする地域では、産官学による学術研究都市づくりが進められています。「病院キャンパス」は世界最先端の生命医療科学の拠点として、「筑紫キャンパス」は物質・環境・エネルギー分野の先端科学の融合拠点として、「大橋キャンパス」はアジアにおける先端的デザインの拠点として、各キャンパスで特色ある研究教育を展開しています。

本学の位置する福岡県は、大陸に近いという地の利に恵まれ、二千年を超えるアジアとの交流の中で、多様な人材を育成するとともに、豊かな自然と充実した都市機能が併存する地域を築き上げてきました。九州大学が立地する県北部には、行政機関、民間企業、教育機関等の集積が進み、西日本の拠点機能を担うようになりました。近年、福岡市と糸島市は、住みやすい都市として世界から評価されています。日本建築学会が、社会の抱える様々な課題をアジアの視点から捉えることを主眼として「アジアから考える」を大会のテーマに掲げ、アジアのゲートウェイとして成長する福岡の地において、多くの皆様と明日の社会を議論することは、大変意義深いことと考えます。

大会開催にあたって、ご尽力くださいました各界の皆様に、この場をお借りして御礼を申し上げるとともに、期間中に活発な学術交流・情報交換が行われ、皆様にとって多くの成果が得られることを祈念しています。

九州大学総長
石橋 達朗

日本建築学会は、1886年(明治19年)の創立以来、我が国の建築界においてつねにリーダーシップを発揮してきた組織です。建築に関わる学術・技術・芸術の発展を図ることを目的に活発に活動し、今年で139年目です。現在の会員数は約3万7千人、我が国の工学系の学会としては最も長い歴史を持つ最大級の規模を有しています。毎年開催される全国大会は、最も重要な行事の一つであり、約1万人の会員が現地に参集し、総計7千題を超える学術講演、建築デザイン発表会、多様なパネルディスカッションや研究協議会が展開されます。学会が創設された1886年は日本でコレラが大流行した年ですが、2020年から3年間は、コロナウイルス感染症対策のため、オンライン開催やハイブリッド開催を余儀なくされました。今年は、対面が復活してから3年目ですが、コロナの経験を相対視しつつ、魅力的な企画が多数用意されています。

九州大学伊都キャンパスを中心に福岡市を連携会場として開催される今年の大会のメインテーマは「アジアから考える」です。わが国の存在を記した最も古い文書である魏志倭人伝にも今回の会場は、伊都国、不弥国と記述されています。大陸に最も近いことから、文化の取り入れ口として、時には争いの場となってきたここは、まさにアジアとの交流のリアルを体験してきた場所と言えるでしょう。環境としても、糸島の自然と新キャンパス、町衆の博多・武士の福岡・緩衝的悪場所としての中洲、と多様性が内包されています。人口減に意気消沈する我が国において、珍しく人口が増えているこの地域の元気さは、こうした多様性によるのかもしれません。今回、この場所で大会が行われることは、環境と人間の関係を考える本学会にとって本質的な意味を持つと同時に、どのような力によって活力が生み出されているかを感じられるまたとない機会と考えます。会場にいらっしゃって、これらをぜひ直接ご体験ください。

日本建築学会会長
小野田 泰明

2025年度の日本建築学会大会は、9月9日(火)から12日(金)までの4日間にわたり、九州大学伊都キャンパスを主会場として開催されます。

会場をご提供いただいた九州大学の皆さま、大会の実施にご尽力いただいている九州大学大学院人間環境学研究院 都市・建築学部門の先生方をはじめ、九州支部の先生方ならびに近隣関係者の皆さまに、敬意を表するとともに、深く感謝を申し上げます。また、開催地である福岡県、福岡市、糸島市には、知事ならびに市長に大会委員会顧問をお引き受けいただくなど多大なるご理解とご協力を賜りますこと、重ねて感謝申し上げます。本大会が成功裡に終えられますよう心より祈念いたします。

九州大学の伊都キャンパスは、「時代の変化に応じて自律的に変革し、活力を維持し続ける開かれた大学の構築」と、「それにふさわしい研究・教育拠点の創造」をコンセプトに、箱崎・六本松・原町の各キャンパスを統合・移転して整備された新キャンパスです。福岡市西区元岡・桑原地区および糸島市(旧前原市・旧志摩町)にまたがるこの地において、2005年(平成17年)10月に移転が開始され、2018年(平成30年)9月に全学的な移転が完了しました。豊かな自然に恵まれた糸島半島と、都市近郊としての利便性を兼ね備えたこの地で、伊都キャンパスは産官学の連携による学術研究都市の中核として機能しています。本大会(九州)は、九州大学で初めての開催となります。皆さまとお目にかかれることを楽しみにしております。

最後になりましたが、本大会がご参加の皆さまにとって、実り多い機会となりますよう心よりお祈り申し上げ、私の挨拶とさせていただきます。

大会委員長
趙 世晨

2025年日本建築学会大会は、福岡市と糸島市にまたがる九州大学伊都キャンパスを主会場として行われます。会場のある糸島地域は、福岡の都心部から比較的近いにもかかわらず、海や山が国定公園や自然公園に指定されている自然豊かな場所であり、観光地や移住先として近年人気のエリアです。糸島の海の幸、山の幸は、福岡の豊かな食文化を支える重要な役割を果たしています。福岡といえば、都心部の歓楽街や屋台が有名ですが、糸島の自然や食も侮れませんよ。もちろん、福岡市美術館、福岡銀行本店、ネクサスワールド、アクロス福岡、ぐりんぐりん、太宰府天満宮仮殿といった新旧の名建築もお忘れなく。

さて、本大会のテーマは「アジアから考える」です。ヨーロッパで近代建築運動が始まってから既に100年以上が過ぎました。近代化は、石炭や石油といった化石燃料をエネルギー源とした産業革命と、それに伴う資本主義経済の発展に伴って起こり、その状況は現代まで続いています。この間の爆発的な人口増加や、二酸化炭素排出量の増大と気候変動は、昨今世界的な議論を巻き起こしています。もちろん建築・都市分野も無縁ではありません。脱炭素や災害対応といった直接的な課題だけでなく、社会全体の仕組みや価値観が大きく変わりつつある時代という意味では、あらゆる課題が関係しています。

こうした課題への対応も、今のところヨーロッパ中心で進んでいるように思えます。しかし、地球温暖化によって亜熱帯化しつつある日本の現状を考えれば、アジア的な視点で環境を捉えることも必要でしょう。また、近代という時代の背景を考えたとき、そこには自然をコントロールし、圏域の拡大と競争を是とする、ヨーロッパという地域の文化や価値観が強く作用していたようにも思えます。多くの神や自然が共存するアジア的な文化や価値観を手がかりにすれば、実は近代とは異なる可能性が見えてくるのかもしれません。参加される皆様には、古よりアジアからの文化の流入地であった九州で、次の時代の建築・都市の姿を思い描きつつ、福岡そして九州のまちと建築を存分に楽しんで下さい。

大会実行委員長
末廣 香織

2025年度の本会大会の開催に向けて、ご準備を進めておられる大会委員長の趙世晨先生(九州大学)、大会実行委員長の末廣香織先生(九州大学)をはじめ、九州支部の皆さま、開催校である九州大学の皆さま、そして関係各位に心より感謝申し上げます。

メイン会場となる九州大学伊都キャンパスは、従来あった複数のキャンパスを統合する形で整備されたもので、2005年より移転を開始し、2018年に移転が完了したと伺っております。糸島半島の豊かな自然と調和した、学術研究都市の核としてスタートした伊都キャンパス、実は私も今回、はじめてお伺いすることとなります。雑誌等では拝見してきましたが、伊都キャンパスで数日を過ごせること、今から楽しみです。若い学生のみならず、我々のようなベテランにも、大会の場そのものが、多くの学びを提供してくれることと期待しております。

気候変動、紛争、社会的分断など、現在、私たちの社会は地球規模の多くの問題に直面していますが、その解決や緩和に向けて、アジア的な価値観や技術の必要性が各所で指摘されています。本年度の大会のメインテーマである「アジアから考える」は、アジア各国とのつながりが強い福岡らしく、また今日的問題の解決・緩和にもつながる重要な投げかけと感じました。今回、福岡での多くの議論を通して、アジアからの発信の種がいくつも生み出されることを期待しております。

さて、私たち中国支部が担当となる、来年度の大会は、2026年9月8日(火)〜11日(金)の四日間、広島市の安田女子大学を主会場として開催予定です。近年、広島都心部は、旧広島市民球場跡地の「ひろしまゲートパーク」、新サッカースタジアム「エディオンピースウイング広島」、広島新駅ビル「ミナモア」などの整備が続き、都市再生に向けた大きな変化の中にあります。2017年度の大会の際に広島に来られた方にも、楽しんでいただける大会になるよう、中国支部をあげて準備を進めて参りますので、まずは皆さま、ご予定をいただければ幸いです。

最後になりましたが、本年度の大会が、参加される皆さまにとって実り多いものとなるよう、心よりお祈り申し上げます。

2026年度日本建築学会大会(中国)実行委員長
田中 貴宏