近代建築運動が始まって100年以上が経過したが、石炭や石油など化石燃料をエネルギー源とする産業革命と、それに伴う資本主義経済の発展は、今日まで続いている。この間の爆発的な人口増加、CO2排出量の増加、気候変動は、世界的な議論を巻き起こし、建築や都市計画を専門とする我々も影響を受けないわけにはいかない。これらの課題に対し、地球温暖化の影響により亜熱帯化しつつある日本の現状も含め、アジア全体の視点から環境を捉えることが必要であろう。自然をコントロールし、領域を拡張してきたヨーロッパ的な近代化に対して、自然を敬い自然と共存してきたアジアの文化や価値観を参考にすると、近代とは異なる可能性が見えてくるのではないか。本シンポジウムでは、シンガポールを拠点に高層ビルの立面緑化や自然との共生を図る都市デザインなど、気候変動や都市化などの課題に取り組むWOHAからRichard Hassell氏をお迎えし、WOHAの建築作品の紹介を通し、次の時代の建築や都市についてお話いただく。